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雪夜の街を一匹の狼が走り抜けた。 狼は探していた、過去に一度だけ遠目で見つけた自分の仲間の狼を。 街の中をうろついても、誰も人間は彼が狼だと気付かなかった。 それだけ彼の仲間は街から姿を消してしまったのだ。 狼は孤独だった。 この孤独の中から抜け出したいといつも願った。 過去に見かけた仲間の狼はメスの狼だった。 綺麗な白い色。 この雪のように。 彼は走り続けた。 仲間を、そして彼女を探すために。 一晩中走って狼は疲れ果てた。 朝日が昇る前に狼は自分の住む場所へと戻ってきた。 朝になり、狼は人間の姿になっていた。 また次の満月まで、仲間を捜しに行かれない悔しさでいっぱいだった。 この賑やかな街の中でも仲間を探せないのか。 彼はそう思いながらシャワーをあびて、スーツを着て出勤の準備をした。
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