モリーナ

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 青年ロバートにとって今回が初めてのモリーナ博物館だった。 モリーナ自体は時々町中や知り合いの家で見たことはあったが、ここまでたくさんのモリーナを一度に見たのは初めてで、終始興奮気味だった。 「アイ、モリーナは何歳まで生きるんだ。」 「はい。モリーナの寿命は人間の約10倍です。そのためおよそ千年は生きるとされています。」 「千年か……。」 ロバートは館内を見渡した。このフロアーだけでもかなりのモリーナがいることが分かった。 あっちを見てもこっちを見ても種々様々なモリーナが立っていて、不思議な可笑しさがあった。 「モリーナは植物のように生きるんだよな。」 「はい。そのため各々栄養を含んだ土の上に立っています。水は一週間に一度だけ与えればいいそうです。」  ふたりは館内を巡っていった。ロバートを先頭に歩き回った。カツカツという小さな足音が館内全体には届かないぐらいに響き渡った。 「モリーナには色々な顔や表情があるんだな。」 「はい。モリーナの顔は千差万別で喜怒哀楽もあります。愛好家の中にはそれぞれの表情だけを好み収集する者もいます。変った顔のモリーナは高値で売買さるとか。」
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