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また暫く歩くと今度は笑った表情をしたモリーナの前に来た。
「アイ、じゃあこのモリーナはどう見える。」
「はい。笑っています。きっと大切に育てられた優しいモリーナなのでしょう。」
ロバートはそのモリーナの目を下からのぞいた。
「僕にはこう感じる。このモリーナはきっとずる賢いやつだ。瞳の奥に怪しさを感じる。ちょっと狂気的な感じすら覚えるほどに。」
その回答にアイは楽しそうにモリーナを観察するロバートの小さな背中を見つめた。
ふたりは一通り館内を巡った後、一階の庭に面する飲食店で食事をすることにした。
そこのサンドイッチが非常に絶品でコーヒーも満足いく香りと苦みだったため、そのことについての感想をロバートが述べていると、アイが急に少し斜め上を向いて「少し昔話をさせてください」と言った。
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