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「はぁ、お母さんはいつもぼくをおこってばかり。自分だって、夕方いつもソファーで寝てるじゃないか。あー、それにしても甘くておいしい~。どんなに食べても、あきないや」
口の中でとけていくチョコに、智樹くんの心もとろけそうになります。
それから、智樹くんはチョコをたくさん食べました。お腹いっぱいになり、眠くなってきたのでベッドに横になりました。
口の中には、まだ甘いチョコの味がのこっています。
時刻は午後4時。
智樹くんは、睡魔に誘われながらも呟きました。
「あーあ、口うるさいママなんて嫌いだ。いなくなっちゃえばいいのに。そしたら、毎日好きなだけチョコが食べられるのになぁ……」
そう言ってゆっくりと目を閉じました。しばらくして智樹くんは、すぅすぅと寝息をたてはじめます。
すると、窓の外に羽を持つ黒い生き物があらわれました。
一匹のカラスです。
カラスは窓のそばに降り立つと、外から智樹くんの寝顔をじいっと見つめます。
やがて真っ黒な羽をひろげると、何事もなかったかのように飛び立っていきました。
ーー……。
どれくらい経ったでしょう。
智樹くんは、目を覚ましました。片方のまぶたをこすりながら、のそりと起き上がります。
「ううん、つい寝ちゃった。いま何時だろう」
智樹くんは、時計を見ました。けれど、なぜか針は4時のままで止まっています。
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