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薄汚れた重たい雲の隙間から,一筋の光が海に射した。それはまるで海の上に光の道を示すかのような不思議な光景で,4人はそこでようやく重い腰を上げた。
「さて…ぼちぼち行きますか…」
修一が真っ直ぐ海を見たまま,誰もが避けていた一言を口にした。全員いつまでも駐車場で海を眺めている訳にはいかないことはわかっていたので,光が射し込んだのをキッカケに誰かの合図を無意識に待っていた。
「だな…そんじゃぁ行きますか…」
敦と裕二もストレッチをしながら応えた。急に全員が運動部のような顔つきになり,これから海でボートを漕ぐ覚悟を決めた。
「みんな…ストレッチしとけ…。寒さで身体がガチガチだから…」
修一が敦と裕二を見ながら,自分もストレッチを始めた。
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