椿と私と彼は

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 彼とは一緒に暮らしはじめて三日目だ。それはちょうど妹を殺した日。それまでは妹と生活していた。  先ほども話した通り、妹は邪魔者だ。そんな妹と暮らしていたのには訳がある。 元々性格が合わず、仲が悪かった。両親に可愛がられて育った妹、椿。家では「椿ちゃん、椿ちゃん」とちゃん付けで妹の名前を呼ぶ声が絶えなかった。その甘い声、言葉。手入れされ切りそろえられた黒髪、大きな目、はっきりとした二重。思わず横に置いておきたくなるようなかわいらしいいで立ち。温室育ちのお嬢様は身だしなみにも華があり、一目見ただけで育ちの良さが伺える。 一方私は、家で「牡丹」か「お前」としか呼ばれたことがない。さっき妹を呼んでいたとは思えないほど乾いた声だ。さして両親からの期待もかけられておらず、学校もサボり気味、容姿ばかり気にしていた。というのも、よく妹と比べられては「姉妹のはずなのにどうしてこうも違うの」と言われ続けていたからだ。私は不細工なわけではない。妹がいるからそう見えるだけで、普通だった。それなのに蔑まれ、私もそれを信じた。可愛いを作ることに必死だった私の高校生活は本当に無駄だったと今では思う。     
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