二日目の憂鬱

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「椿、好きだよ」 「……分かってる」  この言葉が口から出たときに、私は完全に椿になっていた。好きだよ、なんて言われたらいつも「嬉しい、私も」って返すのに。ドアが閉まるこの瞬間まで、私は「椿」だったのかもしれない。 「お前、何考えてんだよ」 「わ、分からないけど……怖かったぁ」  ホッとして座り込んだ。椿を演じきれた。それができたのは、きっと妹のどこかの部分を食べてしまったからだろう。 「……もうドアチェーン外すなよ」  そう言って彼は料理を始めた。今日も何かが出来上がって、私たち二人で椿を囲むのだ。
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