三日目の核心

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 嫌な目覚めだ。まさか妹が出てくるとは。殺して、三日目。彼はいつも以上に元気で、とうとう、ハンバーグなんて肉の感覚が直にある料理を始める。抱きしめて彼の温もりを確かめても、彼は目の前の肉に夢中で、私の声なんて聞こえていない。料理にというよりも、妹の、椿の肉片と向き合っている。幻覚は消えない。すぐそこで黒髪は揺れ、華奢な肩は彼に寄り添う。 「あぁ、美味しい」  彼は人間を食べることに抵抗はなく、それ以上に訪れる快感に溺れているように見えた。その姿で、昨日の妹の話は現実味を帯びた。 「ちょっと、トイレ。誰か来ても鍵開けんなよ」 「……開けないよ」  廊下に消えたのを確認して、即座に冷蔵庫に向かった。妹の話を信じた訳じゃない、けれど気になる。冷凍室には手や足、胴体など分類がされていた。上の扉の方を少し開けると、黒髪が見えた。ただ野菜室には、鶏肉や豚肉が大量に入っていて、私はこっちを食べていたのを確信した。初日のビーフシチューは分からないが、それ以降の食事は基本こっちを食べさせられていたんだろう。後ろでガタ、と音がした。振り向くと目を見開いた彼。 「冷蔵庫、開けないって……」  彼に見つかってしまったけれど、正直な話を聞きたい。 「……私に食べさせなかったのね」 「あ、ばれた? あんまりに可哀想だったからね」  電気代勿体ないから、と野菜室を閉めた。彼のうでを掴む。 「なに」 「でもそれだけじゃない」  彼の目を睨んだ。 「……私のこと殺そうとしたくせに」  動きが止まった。空気は張り詰めてお互いが息を止めているのが分かった。 「……何言ってんの」 「初めからおかしかったのよ」  だるそうに力を抜いた。彼は何も言わない。その反応で妹の話は、真実味を増した。その後私なりに考えた推理は繋がっていった。 「まず、包丁。うちの家では使わないから棚の下に放ってあるのね。咄嗟に掴めるようなところになんてない」 「料理器具がほこり被ってて驚いたよ」 「普段包丁なんて使わないから違和感なかったけど、あれ、耕平さんがもってきたやつなんだよね?」 「あまり料理しないって言ってたから。言ったじゃんサプライズって」 「……次」  長くなるから、彼をリビングに座らせた。私も向き合って座る。 「部屋に荒れた形跡がなかったってことはすんなり殺してんのよ」 「それでも不審者に見えたし」  
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