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僕はしばらく失神していて、それから意識を取り戻した。
「やっと落ち着いたね」
大海原さんはさっきと同じような笑顔を僕の顔に向けニコニコ笑っている。
「くう、無念だ」
僕は観念して箱を見た。中には黒くて四角い物体が入っている。
チョコレートだ。見ただけで怖気が走る。
「・・・・・・ごめんねエメラルダスくん、これ本当はチョコじゃ無いんだ」
多恵子はポツリと言った。
「え?」
「これ、本当はマグロのズケなの」
多恵子が箱を揺すると中の物体はプルプルと震えた。確かにそれはチョコレートよりもずっとグニャングニャンしていて柔らかい。てっきり生チョコかと思うほどだ。
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