うわさ

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「いい加減にしろ」とどなられた。  いったいだれだろう、と思っているとプツリと電話は切れた。  そのときガシャンとガラスの割れる音がした。 隣のリビングルーム何かが投げ込まれた。驚いてみると、火が付いたびんがころげている。キッチンにあった消化器で慌てて消した。 「今時分何なんだ」  幼い頃、火炎瓶というものだろう、ニュースで見たことがあるが、それはとても非現実的のことのように思える。しかし何となくこのことが必然のように思えた。この「不条理」が仕方が無いように思える。 また電話が鳴る。 「お前のことは絶対許さない、死んでお詫びをしろ!」とまくしたて電話は切れた。 僕の生活といえば、朝起きて、仕事に行き、デスクワークで細かな仕事をし、取引先に恨みをかうようなセクションでもない。上司からもねちねちと言われることがあっても、逆恨みをされることもない。普通以上に普通に生活している。 女とのことは皆無といっていい。いやその無関心がいけなかたのであろうか。 もしかしてこれは人違いではないだろうか。  家の外で、人影がした。やがてがやがやと大勢集まってきたようだ。いったいなにごとだろうか。     
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