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がやがやと外で声がする。頭がおかしくなりそうなほどの大音量。身体も大きければ声も大きい奴らの話声は、家の中にいても腹が立つほど聞こえてくる。まだ、人数ならこちらの方が多い。なんとか町から追い出してやりたい。やりたいが。
あの悪魔どもに比べて、自分達のこの細い手足のなんと頼りないことか。俺がもっと強ければ、妻にも子供達にもこんなひもじい思いをさせずに済んだのに――そう思うと、本当にやるせない。
「!」
怒りに燃えていた俺は、外から聞こえてきた会話にはっとして顔を上げた。
「おい、お前……チャンスだぞ!」
「え?」
「あいつら、明日町の外のお祭りに出かけるらしい!揃って全員いなくなる……!明日なら、奴らに見つからずに狩りに行けそうだ!!」
「ほんと、ほんとに!?」
妻が目を輝かせる。自分たちの喜びに満ちた声を聞きつけたのか、子供達がわらわらと駆け寄ってきた。
「父ちゃんほんと?」
「ほんとー!?」
「明日!明日はご馳走食べられるの?パンひと切れじゃないの?」
「勿論だ!父ちゃんに任せてくれ、とびっきりのご馳走を見つけてくるからな!!明日までの辛抱だぞ!!」
子供達に、少しでも美味しいものを食べさせてやりたい。きっと他の家族も聴いていることだろう。明日は、一族総出で勝負をかける日となるに違いない。
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