海岸モール ３ うっくん 『二十二日』その後

うっくん

モールのペットショップへ行った、
ウサギ購入のため。
なんか・・・
しっくりこん(気がのらない）けど。
愛犬・次郎丸が死んで
「生きモン、懲り懲りや」
思てたから・・・。
なんちゅうか・・・
死なれて気抜けというのか・・・
とにかくしんどい・・・でも
「奇跡の回復ですよ！」
病院中で称賛された母の復帰。
脳腫瘍で
「こりゃ死ぬわ」
覚悟してたら、
目が覚めた！手が動いた！
歩いた！言葉戻った！
で、退院。
「なんで次郎、おらへんの？」
数年分の記憶が斑模様らしい。
周りは
「ペットでもいたら
　もっと元気になるわ」
無責任に言うてくれる。
ペットと言えども“命“やから、
責任を持たんと・・・
そんなエエ格好違うなあ、
次郎丸やないと嫌なんやなあ、私。
でも家で所在ない母を
見かねて買いにきた、ウサギ。
昨夜テレビのペット番組で映ってて
「ウサギて可愛いらしなあ」
母が興味をもったから。
(助かったいうても長生きは無理やろ）
・・・思ってしまったから。
家へ帰ってサークル用意して
「トイレと牧草ハウス、テント・・・」
「別荘みたいやなあ」
親類の子供達まで集まって大騒ぎ。
エサとかオヤツ、野菜、セットして
「可愛いなあ、“うっくん“」
知らん間に名前決まってるし・・・
父ちゃん、呑気に見てるし・・・。

二階へ上がって仕事・・・。
気がついたら
「もう９時か、飯、飯」
皆が帰ったリビングへ入ると、
サークルから抜け出して
“うっくん“がソファの母の側に。
「お母さんと一緒にネンネか？」
頭を撫でてみた。
掌に温もりが吸い付く・・・。

いつも私の傍らにいたのは
・・・次郎丸やった。
これからは母の隣にはうっくん。