富田さんが転んだ

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城崎さんは、主に工事を担当している人だ。エアコンやFFストーブの取り付け、アンテナ工事などを行っている。 振り返った城崎さんは、驚いた表情を見せた。 「あれぇ、高橋さん・・・なんでこんな所にいるの?」 と当然のごとく聞いてきた。 「ちょっと用事があって近くまで来たので、寄ってみました。」 彼の後ろには、大きな倉庫の入口があった。倉庫は、学校の体育館より更に奥行きがあって、縦長の印象を受けた。 「結構広いんですね。」 私が、倉庫の方に見入っていると、城崎さんが小声で呟き出した。 「高橋さんは知らないと思うけど、センターの富田さんが、1ヶ月位前に失踪してさ、最近なんだけど、この倉庫に富田さんの幽霊が出るって、皆騒いでるんだよ。怖い話でしょ。」 「城崎さんも見たんですか?その幽霊・・・。」 「いいや、見てないよ。でも、このセンターの人は、皆見たらしいよ。それもさ、見た人達は皆同じように、富田さんはずぶ濡れだったと言うんだ。なんか可哀想に思えてきてさ・・・。彼は、やさしくていい人だったからさ。」 「ずぶ濡れ・・・ですか。」     
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