1人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道、一人きりの車中、富田さんの姿が何度も思い出されて怖くて仕方なかった。
(そう言えば、噂通り富田さんは、ずぶ濡れだったような気がする。)
時刻は、16:30 夕闇が迫ってきている。冬は、暗くなるのが早い。だから、皆急いで帰ろうとする。暗闇に取り残されないように。
今年の冬は、雪が少ない。国道沿いも、田畑は雪で真っ白だったが、車道には、まったく雪がなかった。
(富田さんは、何処にいるのだろう・・・。)
それからしばらくして、私が、ホームセンターの売場で品出しをしていると、後ろから声を掛けられた。
「高橋さん。」
「あっ、はい。」
振り向くと、そこに城崎さんが立っていた。
「城崎さん!」
「大丈夫そうだね。この前、様子が変だったから、心配してたんだよ。」
「大丈夫ですよ。工事ですか?」
「ああ、材料が足りなくなって、部材買いに来たんだ。」
「寒いのに、外で工事大変だね。」
「でも、今年は、雪が少なくて助かってる。去年なんか、雪のせいで工事出来ない日が、いっぱいあったもの。」
「車、気を付けて下さいね。」
「ありがとう。そう言えば、さっきここの警察署から健二が出て来たんだけど、あいつ何かしたのか?」
「健二?もしかして、配送センターの健二さんのこと?」
最初のコメントを投稿しよう!