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絶望のあまり一切動けなくなり、それこそ生きた屍のようにベッドに横たわりつづけました。けれど、いつまでもいつまでも、状況が変わることはありませんでした。
どれほどの間そうしていたでしょうか……ついに、ボクは覚悟を決めました。
永遠の孤独は、もしかしたらボクに与えられた使命なのかも知れないと考えたのです。
それからボクは、祖父が残した資料を片っ端から調べはじめました。時間遡行機械について徹底的に研究し、ついに、祖父が作ったものの欠陥が何だったのかを突き止めました。
その間、普通に時が流れていたなら、いったい何十年が――もしかしたら何世紀が――過ぎ去っているでしょうか。しかし、ボクは食べることも眠ることもせず、このように少年の姿のままでいます。
今から、ボクは自分の研究にもとづいた、『時間解凍装置』の開発を始めます。確実にうまくいくかどうかはわかりません。
それでも……ボクには、たった一つの希望があります。もう一度、ここで『あの日の朝』をやり直すこと――冷たい風や、舞い落ちる雪や、鳩たちの羽ばたきに囲まれて、こっそり買い食いを楽しんでいるあなたに、もう一度こう言うこと。
「おはようございます、お嬢様。」
(完)
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