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「遅い!」  玄関先で仁王立ちして待っていた、飼い主のケイ。けろっとした表情で帰宅したチャーコを見て、ほっと胸をなで下ろす。 「ちょっと迷子の人と話し込んでいたプギ」 「あっ? 変質者じゃねーだろうな」 「大丈夫ぷぎゅ」  怪しくなかったと言えば嘘になる。道を聞かれただけで身の危険はなかったわけで、報告するまでもないとはぐらかした。 「今度また遅くなったら、GPS首輪つけるからな!」 「……ごめんなさいプギ」  苛立つケイの背中に小さな謝罪を述べるが、冷えた食卓に会話はなかった。  翌日。ケイが出勤した後、チャーコは紙切れの地図を頼りに昨日の怪しい奴を探しに出かけた。決して、おやつに釣られたからではない。 「いらっしゃいわん」 「こんにちわプギ」  知らなかったのが不思議なほど大きな古民家の長い石畳を通り、チャイムの壊れた玄関から叫ぶと、昨日と同じく目深にキャップとフードを被った怪しい雰囲気を纏った奴が、口角を上げ出迎えた。印象的な黄色い手袋はチャーコを招き入れると、引き戸を閉めた。 「土産もねーのかよ。つかえねー奴」  逆光で気づかなかったが、口の悪い鳥は色鮮やかな青い鳥だった。     
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