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 原っぱ公園でヌコリン、わたあめ姫と別れた夕刻。トコトコ歩いていると、チャーコは背後から声をかけられた。 「キュートなお嬢さん!」 「プギ?」  声の主に振り返ると、目深にキャップとパーカーのフードを被った怪しい奴が立っていた。朱い陽に照らされ伸びた黒い影。逆光で影が増し、ヒドく怪しい臭いが漂よう。目前の雰囲気にチャーコは身構えると、慌てて黄色い手袋を両手いっぱいに振った。 「違う! 怪しい奴じゃないわん。皆星町に知人を尋ねて来たんだけど、道が分からなくて迷子になって困っていたんだ。この地図の場所を知らないかわん?」  膝を曲げると目線を下げ、紙切れを蹄に挟ませる。荷物と思っていた肩に乗った、鳥と視線がぶつかる。 「ガン飛ばしてんじゃねーぞ」  紙切れが地面に吸い込まれてゆく。チャーコは涙目に走り出そうとすると、黄色い手袋が頭を撫でる。 「やめないか。コイツはボクの家族なんだけど、照れ屋な性格のせいか口が悪くてね。悪気はないんだ。許してやって欲しいわん」 「いいプギ。アタチの飼い主も口が悪いけどホントは良い奴ぷぎゅ」  蹄と翼で握手を交わせば、仲直り。 「今週いっぱい此所に居るから、良かったら遊びに来て。おやつ用意して待ってるわん」 「友だちと一緒に――」  鼻先に黄色い手袋を押し当てる。 「ボクのことは内緒にして欲しいわん」 「どうしてプギ?」 「ボクはずっといるわけじゃない。知り合いを増やすと、お別れが辛くなるわん」  キャップを被り直すと、背中を向けて手の甲でバイバイと去ってゆく。チャーコが地面に置き去りにされた地図に気づいた頃には、もう姿は見えなくなっていた。
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