10 minuten traum

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10 minuten traum

A「さっきから時計ばっかり見て!こっちを向きなさいよ!」 B「ごめんごめん、それで、何だっけ?」 A「んもーっ、だからあそこのお店のドレスよ!」 B「………ウェディングドレス、君が着るの?」 A「そこ、なんで私の上から下まで見るかな?いつか着てみたいだけなんだけど、文句ある?」 B「いつか、努力は報われるよ」 A「そんなコトばっかり言ってると、お嫁さんのもらわれ手がなくなるわよ」 B「はは、努力するよ」 A「大体ねぇ、私が誰のためにドレスを着てあげるつもりだと思っているのよ…………」 B「ん?なんだって?」 A「ふんだ、もうドレス着るまで言わないわ、いーっだ!」 B「君はいつも悩みを言わなさそうで、僕も見習いたいよ」 A「失礼しちゃうわ!ずっと入院してたアンタが元気に歩いてるのを見つけて、はしゃいだ私がばかみたいじゃない」 B「君につける薬はあるから、きっと大丈夫だよ」 A「むきぃ!見てなさい、あのドレスを着こなした私の前に、ひれ伏すがいいわ」 B「それは完全にドレスの女王様だね」 A「だったら仕方ないからアンタを王様にしてあげるわ!女王様に釣り合うステキな大人になってみなさいよね!」 B「大人……、ああ、ごめんね……もう、時間が……」 A「え?何ですって?いいからそんなところに立ってないで、せっかくだからお店入るわよ、アンタが私に贈って差し上げる指輪でも見つくろいなさい」 B「うん、そうだね…………ありがとう」 A「どうしてアンタがお礼を言うのよ、ほら、さっさとお店に……あれ?ちょっと、どこいっちゃったの?もー、私とこんなお店に入るのがそんなに恥ずかしいのかしらー?ねえ、隠れてないで、出てきなさいよ……ねえ、おねがい、だから。……いなくならないでよ。私の……ドレス姿、見るまで、ここに、いなさいよ……」 10 minuten traum ~10分間の幸福~ 了
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