0人が本棚に入れています
本棚に追加
10 minuten traum
A「さっきから時計ばっかり見て!こっちを向きなさいよ!」
B「ごめんごめん、それで、何だっけ?」
A「んもーっ、だからあそこのお店のドレスよ!」
B「………ウェディングドレス、君が着るの?」
A「そこ、なんで私の上から下まで見るかな?いつか着てみたいだけなんだけど、文句ある?」
B「いつか、努力は報われるよ」
A「そんなコトばっかり言ってると、お嫁さんのもらわれ手がなくなるわよ」
B「はは、努力するよ」
A「大体ねぇ、私が誰のためにドレスを着てあげるつもりだと思っているのよ…………」
B「ん?なんだって?」
A「ふんだ、もうドレス着るまで言わないわ、いーっだ!」
B「君はいつも悩みを言わなさそうで、僕も見習いたいよ」
A「失礼しちゃうわ!ずっと入院してたアンタが元気に歩いてるのを見つけて、はしゃいだ私がばかみたいじゃない」
B「君につける薬はあるから、きっと大丈夫だよ」
A「むきぃ!見てなさい、あのドレスを着こなした私の前に、ひれ伏すがいいわ」
B「それは完全にドレスの女王様だね」
A「だったら仕方ないからアンタを王様にしてあげるわ!女王様に釣り合うステキな大人になってみなさいよね!」
B「大人……、ああ、ごめんね……もう、時間が……」
A「え?何ですって?いいからそんなところに立ってないで、せっかくだからお店入るわよ、アンタが私に贈って差し上げる指輪でも見つくろいなさい」
B「うん、そうだね…………ありがとう」
A「どうしてアンタがお礼を言うのよ、ほら、さっさとお店に……あれ?ちょっと、どこいっちゃったの?もー、私とこんなお店に入るのがそんなに恥ずかしいのかしらー?ねえ、隠れてないで、出てきなさいよ……ねえ、おねがい、だから。……いなくならないでよ。私の……ドレス姿、見るまで、ここに、いなさいよ……」
10 minuten traum ~10分間の幸福~ 了
最初のコメントを投稿しよう!