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―――『ある日のお話』―――
夕暮れ時、桜の木の下で座っていた男性が立ち上がった。
僕の話は最後まで伝わっただろうか。しっかりとその男性は聞いてくれただろうか。しかし、立ち上がったその男性の表情を見て僕は安心した。
彼の表情は彼女のことを想っている、そう僕には伝わったからだ。
こうして彼は僕から拝借した一本の桜の枝を持って彼女のもとへと帰っていった。
僕は幸せを噛みしめながら彼の背中を送り出した。
fin
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