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天地万物の父なる神よ
そして
すべての美を極められたるヴィーナスよ
この私をお許しください
反逆の心などは みじんも持たない
この私なのに なぜかあなたが
色あせて見えるのです
あれ程までに光り輝き荘厳であるべき日の出
強い光を与え給うた太陽の消え行かれる夕暮れ
これから訪れる暗い闇にも恐れを抱くことなく
競い咲く花 強く伸びる雑草 逞しく立つ木々
それら全てが 色あせて見えるのです
天地万物の父なる神よ
そして
すべての美を超越せられたるヴィーナスよ
この私をお許しください
あなた方のお造りになったこの私なのに
何故かしら、道行く人々に
昨日までの愛を忘れ果ててしまい
今では 虚ろなる目でしか見ることが
できないのです
どんな女性に対しても
その比較こそ出来はすれ、決して
美しいとは言えない、いえ感じられないのです
かの“モナリザの微笑み”にさえ
その暖かみを感じることはなく
かの“最後の晩餐”にさえ
その暖かき御心を感じられないのです
しかし
天地万物の父なる神よ
そして
すべの美を纏われたヴィーナスよ
あなた方は この私をきっと
お許しくださることでしょう
自然・音楽・そして人々を
色あせて感じさせたものが何であるか
あなた方は ご存知の筈だから
私はあの女人に 私のすべてを
奪い取られてしまいました
燃え滾る 愛の炎
渦巻く 美への賛辞
溢れる生命ちの 言葉
それらすべてがあの女人に 動いてしまうのです
天地万物の父なる神よ
この罪深き私めを お許しください
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