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難事件
…――チョコかと思ったら角砂糖だった。
バレンタインに贈られたもの。
それは角砂糖。
確かにチョコも角砂糖も甘い。
彼女からしてみればチョコも角砂糖も同じなんだろうか。いや、むしろチョコよりも角砂糖の方が上だと思ったからチョコではなく角砂糖を贈ったのか。ともかく白菜や牛肉をもらうよりはいい。もちろん白菜や牛肉が悪いというわけではない。
ただしだ。
バレンタインデーに白菜や牛肉をもらうよりは角砂糖の方が幾分かマシだという話だ。
それにしてもバレンタインに角砂糖とは、どんな意味があるんだ。
僕は探偵気分でその謎に挑む。
「角砂糖?」
と。
「うん。角砂糖だよ」
もちろん不満はないけどそれでもどうせならチョコが欲しかった。
バレンタインとは男にとっても大事な日だ。付き合っている彼女からチョコがもらえると嬉しくなる日だからな。そんな日にチョコをもらえなかった衝撃で思わず探偵気分にもなってしまうというものだ。そんな繊細な心すらも分かってもらえないのか。
加えてだ。チョコではなく角砂糖をもらうのは、ある意味、義理チョコよりもギリギリ感を感じてしまい敗北感にも支配される。ただし僕と彼女は付き合い始めてから、もう長いからバレンタインデーにチョコを何回ももらった。それらを加味すれば……、
角砂糖とはマンネリを打開する為、奇をてらったとも考えられる。
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