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私の中で核融合反応が起きたかのように、何かが爆発しそうになる。それも隠したくて、無理にでも同じように笑いかけようとして失敗した。最初からずっと、わたしの顔は引き攣って、ぴくぴくとした瞼の痙攣はやまない。
これはずっと焦がれていたことで、何度も何度も夢想したことで、生活が壊れるからと禁忌としていたことだ。欲求を抑え込んでいた頼りなかった糸がついにぷつりと切れ、もうどうなってもいいと、投げやりになったわたしが行動に起こした結果だ。
罪悪感と、期待と、悲しみと、喜びと、緊張と。いろんな感情がぐるぐると混ざり合って弾けた。
微笑んでいた相手の顔がふいに歪む。どんどん歪んでいく。存在の輪郭が不明瞭になり、風船のように膨らむ不安感に比例して握る圧力はますます強くなった。
その手の力は、この世にわたしの魂を留めようと懸命に引き留める。
「……大丈夫?」
繋いでいた手とは反対の手が頬を撫でる。優しく、愛しいペットを労わるような手つきで。
自分が泣いていることに気がついたのはその時だった。温かい手に擦り寄り、存在を確かめ、頑張って相手に笑いかける。泣いてなんかないよと。
それを見て、赦しを得たと思ったのだろう。ぼやけてよく見えない顔が近寄り、視界いっぱいに広がる。厚めの唇が濡れた睫毛の露を払うように瞼を掠める。
わたしに赦された相手が、わたしに赦しを与えようとしてくれている。
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