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生きる訳 死ぬ理由
はっと目を覚ました私は、ベッドの上でそのまま横たわっていた。
ぼんやりとしていた意識が、だんだんはっきりしてくる。
何の夢を見ていたのだろう。良く覚えていなかったが、まぶたにさわった指に、カーテンのすき間からもれている光が当たって、しずくがキラリと反射するのが見えた。
まだ言う事を聞かない体を、ゆっくりと起こすと、ベッドのわきの小さなつくえの上の時計を見た。
8時をとっくにまわっていた。―と、いうより、短針は9に近かった。
とっくに遅刻の時間だが、私に関係は無い。
フリーターとか、退職後の老人だとか、はたまた未就学児というわけじゃない。私は14才。本来なら中学2年生だ。
本来、というのは、私がここ一年学校に行っていない、いわゆる不登校というものだからだ。
「何で学校行かないの?いえ、きっと何かがあったのね。」
そう心配そうにきく母は、私が何も言えずにいると、
「行きたくないなら、無理に行く事も無いのよ。学校だって変えれば良いわ。」
と、微笑んでくれた。
うれしかった。本当に。けれどその言葉は、私の心をえぐる事にもなった。
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