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本当に、そうなら良いのに。例えば、同じクラスにとびっきりのいじめっ子がいて、私がそのえじきになって、苦しめられて、それで学校に行きたくない、とか。
私は、特別に友達が多かったわけでもないが、人並みに仲の良い友人がいて、クラスにそれといっていじめっ子も思いうかばない。
それなのに、私は学校に行きたくない。
なぜなのだろう、自分でも本当に良くわからないのだ。
だから、母が私をなぐさめてくれるたび、私は余計にむなしくなった。
ぼーっとしながら、てき当な服に着がえて、部屋を出ると顔を洗い、下の階のリビングにおりた。
ダイニングのテーブルの上に、何かが置いてあるのが目に付き、まだとかしていなくて、ねぐせがついたままのかみを手ぐしでとかしながら、そちらへと向かった。
<お母さんは会社に行ってきます。今夜はおそくなるかも知れないけれど、心配しないでね。朝ご飯、おにぎり食べてね。お昼は、てき当に食べておいてね。今日も愛してるわ。お母さん>
というメモと一緒に、ラップに包んだ三角形のおにぎりが二つ置いてあった。
何となくメモをポケットに入れて、おにぎりを両手にそれぞれ持つと、自分の部屋に持っていき、ベッドの上で食べた。
私の好きな、サケと梅の味だった。
ゆっくり食べたつもりだったが、それでも20分もかからなかった。
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