大好きな彼につく嘘は苦い

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僕が、両方の性を持ってることも勿論知ってる。 「あら、未央ちゃん、来てたのね」 「すみません、また、来ちゃいました」 「いいのよ。未央ちゃんが来ると、不思議と家の中が明るくなるから」 「雅枝さん、何か手伝うことありますか?」 「じゃあ、お皿を広間に運んで貰えるかしら」 「はい」元気よく返事して、テーブルの上に並べてあった、お皿を手に持ち、台所を出ようとして、入ってきた佳大さんとぶつかった。 ガシャーーン! 派手な音を立てて、皿が床一面に散らばった。 「す、すみません」 割れた皿を拾おうとして、指先にちくりと鈍い痛みが走った。 見ると、右手の人指し指の先っぽから血が滲んでいた。 「ごめんな、前をよく見てなくて」 「大丈夫です・・・よ、佳大さん!!」 手を握られたと思ったら、指が、彼の口の中にすっぽりと入っていた。 そこは、くらくらするくらい熱くて。 ドクンドクンと脈打っていた。 熱っぽい眼差しで見詰められ、傷口を軽く吸われて、体がピクピクと勝手に震えた。 な、何!! 今の・・・。 びっくりして戸惑う僕に、佳大さんは満足そうな笑みを浮かべゆっくりと口を離した。 「やっぱり、18になるまで待てない。今すぐにでも未央が欲しくなった・・・」 ぞくっとするくらい甘い声で囁かれ、頬っぺたにチュッと軽く口付けされた。
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