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「まっさらな所と、まだ、何色にも染まらない所かな?言い寄ってくる女はごまんといる。どうせ、みんな、金目的だろう。鬼頭家の嫁となれば、一生、働かなくても楽して贅沢三昧だろうし。未央は、俺を心底愛してくれるーー尽くしてくれる、不思議とそう思わせてくれる。それに、最低四人は子供が欲しいんだ。兄弟が多いなかで育ったからね。未央なら、いいお母さんになれると思う」
彼の腕が然り気無く腰に回わってきて、フワリと体が宙に浮いた。
「佳大さん、下ろして?」
手足をばたつかせて、抗議するも、
「雅枝さんの邪魔になるから」
あっさり却下され、そのまま、広間へ連れていかれた。
「来週の日曜日、未央との結婚を発表する。会場の手配はすべて俺が段取るから、参加者のリストアップだけ頼む」
談笑していたおじさんと、おばさん、二人してしばらくの間固まっていた。
だって、展開が早すぎるんだもの。
戸惑うのも無理ない。
アツのおうちにきて、まだ、十時間も経過していない。
まさに、急転直下。
「佳大、本気なの?」
「あぁ」
「未央が、高校を卒業するまで待つんじゃなかったの?」
「そのつもりだったけど、今すぐにでも、未央との子供が欲しくなった」
「ちょっと待って。未央は、まだ、15よ。学校だってあるのよ」
「孫の顔が早く見たいって言ったの、父さんと母さんだよね。なら、文句はないだろ」
「まぁ、そうだけど・・・」
おばさんも、おじさんも困惑して、異義を唱える事は出来なかった。
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