1917人が本棚に入れています
本棚に追加
/273ページ
「添島先生から、今までの経過を聞いてきたわ。順調で何より。あなたも少しは父親としての自覚が生まれているようね」
「へ!?」
「へ?じゃないでしょう。これでも褒めているんだから、素直に喜んだら?初めて会った時、こんなチャラチャラした今時の子供に、自分の子供が育てられるか心配だったのよ」
アツと話しをしながら、服の中に聴診器の丸い部分を差し入れ、お腹のあちこちに当てがった。
「うん、異常なさそうね。赤ちゃんも、お腹を蹴って、すごく元気そうだし。かなり、やんちゃみたいよ。まぁ、逆子なのと、足の浮腫みが気になるだけかな」
そう言って、先生はアツに視線を向けた。
「いつ産まれてもいいように、さっさとガーランドに来なさい。子育ては、未央ちゃん一人では絶対無理だからね。分ったら返事しなさい」
「は、はい‼」
アツ、ビクビクしながら姿勢を整えて大きい声で返事した。
「まぁ、俺もいるし」
佳大さんが部屋の中に入ってきた。
「未央、帰ろうか。俺達の”故郷”に・・・」
「うん」
正直行きたくないけど、アツがあとから来るならそれまでの我慢。そう自分に言い聞かせ、アツと佳大さんに体を支えて貰いながら何とか体を起こした。
最初のコメントを投稿しよう!