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終章 ~奏人とアツと彼とはじまる新しい明日へ~
なおも追い縋ろうとする父から逃げ、日本を離れて一か月半あまり。
ガーランドはちょうど雨季の終わり頃。月の半分は雨だけど、日中の平均気温は三十三度。夜でも、二十三度と、日本と比べるとやはり蒸し暑い。
「ただいま、未央」
夕方になりアツがドタバタと高校から帰って来た。
インターナショナル校は、中学校までしかなくやむを得ず、現地の高校へ中途編入した。
アツの英語力なら何とかなる!って佳大さん。
アツがガーランドに移り住んでまた二週間あまり。一度たりとも弱音を吐かず、毎日分厚い英語の辞書を片手に勉強を頑張っている。その原動力になっているのは、僕の隣でバンザイの格好ですやすやと眠る奏人の存在が大きいみたい。予定日より一か月早く生まれた奏人。乾先生も驚くくらいの安産だった。
そして一番気がかりだったこと。
両性かもって・・・心配したけど、良かった。普通のおとこのこで・・・
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