終章 ~奏人とアツと彼とはじまる新しい明日へ~

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ゆっくりと上体を起こし、奏人を笑顔で囲む二人を眺めた。 このまま三人ではだめなのかな。 あの時、僕と奏人を守ろうと、決死の覚悟で盾になってくれた二人。小さい頃から、僕は二人に守って貰っていた。お父さんや、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、理人お兄ちゃん、頼人お兄ちゃん。それに、寺田さんや、ヒーリーさんや、雅枝さんも、みにくいアヒルの子と親に罵られ、捨てられた僕を必死で守ってくれた。心から愛してくれて、大切にしてくれた。 今、僕がこうして奏人を授かり、何不自由なく幸せな生活を送れるのは、みんなのお陰。だからこそ、誰も不幸にしたくない。 だって、二人とも、こんな僕を心の底から愛してくれるから・・・ アツの事は勿論大好き。佳大さんの事も、前と比べたら、好きになっていると思う。 「あのね・・・」 「ん!?なんだ、改まって」 「どうした未央?」 「二人とも好きじゃダメかな・・・だって選べないよ・・・どっちかだけなんて・・・無理だよ。アツ、ゴメンね。佳大さん、ごめんなさい」 鼻を啜りながら、涙を手で拭いながら、自分の思いを必死に二人に伝えた。
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