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「今度こそお祖父ちゃんたちの所で産みたい。だめですか⁉」
「いいんじゃないの。あなたの好きにすればいいわ」
「お母さん、その・・・父と、奈津美さんの事、ありがとうございました」
頭を深々と下げた。あのあと、奈津美さんは警察に保護され、自立支援施設で社会復帰に向けリハビリをしている。父は逮捕されるも、すぐに釈放されそのまま精神病院に入院した。
あれほど散々迷惑を掛けたのに、お父さんもお母さんも、父と奈津美さんを気にかけてくれて、何度も面会に行ってくれているみたいだった。
「生きていれば、いつか会える日がくると思うよ。中澤さんがした事は決して許されるべき事じゃないけど、未央も親になったんだし、今なら中澤さんの気持ち、少しは理解出来るんじゃないかって思う」
お母さんの言葉を何度も頷いて聞いていた。
「母さん、未央を泣かせるなよ」
「泣かせていないから」
アツと佳大さんがピタリと寄り添ってくれた。
「初めまして奏人」
渋るお父さんの腕から、ムリムリ奏人を抱き上げるお母さん。
「返してくれ」
「私にとっても大事な孫ですから、一人占めは許しません」
「そんなぁ・・・」
しょんぼりと項垂れるお父さん。お母さん、相変わらず強い。
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