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「ああ、あれね。でも、どーんって言ったら、共通認識なのかと」
「doの過去分詞はダーンですからね」
ヒナは無視して続けた。
「隕石よ。隕石が落ちてくるらしいの」
ふわっ、と風が一筋私たちの間を流れる。私は思いを巡らせる。
全人類が宇宙に避難する、ということは地球上に助かる場所はないという事だ。その規模の隕石とは…
「それで、よっぽど暇か偏屈な人がこの星に残った」
「そんな…」
嘘だろうと考えてたのは、あまりに突飛で、残酷だったから。
この空っぽの街をみて、否定する理由などないことに今気づいた。
「あなたもこの街で目覚めるなんてラッキーね。落ちるのはこの街よ」
ヒナがあまりに淡々と言うので、大事が飲み込めない。
「隕石…ね」
「この街にいる人は、みんな死ぬ覚悟ができてる。というか、死にたいから残ったのかもね」
「いんせき…」
「いんせき、よ」
ヒナが私の肩に手をおいた。
「とりあえずは、今日の夜ご飯のことを考えましょ」
いつの間にか下を向いて歩いていた。顔を上げると、スーパーマーケットだったものが見える。
ドアは自動だった。ウィーン、と無機質な音と一緒に開く。
「何か食べたいものはある?」
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