果て

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赤よりも赤い円雲を伴ったその爆発は… 途端、頭の中に強烈な既視感が現れる。 途端、頭の中に強烈な既視感が現れる。 「ロケット、行っちゃうね」ロケットの下部は噴煙をあげ、いよいよ大きな音を上げ始めた。 「大丈夫よ。私達はいつでも二人で一人、よ」あっけらかんとヒナが笑う。 「指切りげんまんしよ」 「良いわね。でも、何を」 「私達のどっちかが、相手を一人にしちゃったら」 「それは、針千本じゃ済まないわ。もっと、厳しいことにしましょ」 「うーん…。じゃあ、これはどう」 「何?」 「指切りげんまん、一人にしたら、」 「一人にしたら?」 「おうちにいれてあげません!」 私達はロケットの爆風のさなか、ずっとそんな事を言って笑い転げていた。 芋づる式にとめどなく出てきたのは、私の記憶。いや 芋づる式にとめどなく出てきたのは、私の記憶。いや 私達の記憶だった。 私達の記憶だった。 隣を見ると、そこにはとどまることを知らない涙を流すヒナがいた。 隣を見ると、そこにはとどまることを知らない涙を流すハルコがいた。 「ちょっと、なんで泣いてるの」 「あんたもよ。でも、なんでだろう、あはは」 「何笑ってるの。…ふっ、あはははは」     
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