65人が本棚に入れています
本棚に追加
「犯罪の匂いがする」しまった。また漏れていた。
「ジョークなのに…」と肩を落とすエイさん、
「あなた、意外と毒舌ね」とニヤニヤするヒナ。
「いや、嘘です!いやあ、お似合いだと思ったのになあ…」無理矢理にでも訂正する。
「本当かい?」少し目の色が明るくなるエイさん、
「料理を用意するのは私よ。発言には気をつけること、さもないと…」殺意を露わにするヒナ。
「お、今晩は何作るんだ?おじさんにも、ごちそうしてくれよ」
「来ると思って、エイ爺の分も持ってきたわ。安心なさい」
「ごちそうになります」つられて私も、「ごちそうさまです」と口走る。
焚き火の上で大鍋がコトコトと音を立てている。暗くなってきた。
「そういえば、ヒナはなんで外で生活しているの?」率直な疑問だった。
「趣味よ、趣味」ヒナはつけあわせのスープをすする。「昔からの夢だったの、野外生活」
「たまには家に戻ってもいいのになあ」エイさんは不思議そうに言う。
「あと6日よ。貫きたいの」
「あの、その6日ってのは、どーん、の日っていう認識でいいですか?」
「そうそう、どーんよ」「何だそれ。過去分詞か?」面白くないので、二人で無視する。
「そろそろね」鍋の中のレトルトカレーが、いい感じに湯気を吹いている。
最初のコメントを投稿しよう!