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「さっき言ってた宇宙っていうのは…」「そのまんまだよ。みんな宇宙に行っちゃって、あまのじゃくが残った」本気なのだろうか。
「なんで宇宙に?」
ヒナは一瞬間を置いた。そしてこちらを向いて、
「それはほら、どかーんって」
「土管?」
「それより、あなたこそ誰なの?私はこの街に住んで長いけど、あなたのことは知らない」
「それがまだ調査中で…。気づいたら、ほら、あそこの病院に、てか、ここからは見えないけど」
「わかるよ。中央病院でしょ」
「たぶん」
ヒナは一瞬何かを考える表情をしたが、それもすぐ忘れるようにまたカバンのなかを探り出した。
「さっきから、何を探しているの?」
「ちょっと…まってて、今取り出す」
何かカバンの中に見つけたようだ。体を傾け、無理やり引き抜こうとしている。
「…っしょ!」
「?」
「あなた、これの使い方、わからない?」
ヒナが差し出してきたのは、長いとも短いともつかない棒のようなものだった。端の方に、それとは違う小さな棒が平行になるように付けられていた。見方を変えれば、歪な7の様にも見える。
「よいしょ」
ヒナはもう一つ取り出した。
三脚だった。
というかこれは…
「望遠鏡?」
「ああ、確かエイ爺もそう言ってた気がするわ」
望遠鏡の使い方なら…少しはわかるだろう。
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