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おはよう
冬の朝、だと思った。
理由は、布団から出られなかったから。冬の私は朝に弱い。
しかし、布団と言ってもそれはペラペラの、ただ一枚の毛布だったわけで。
「夏…?」
背中を起こす。明瞭になっていく視界と一緒に頭の中で何かが霞んでいくーーー
「:*`{*`て!!!$%"4%$6、`(’00まして!!!」
(なんだろう、これ…)
頭の中で何かが引っかかりそうで、引っかからない。デジャヴ、と言えるほどはっきりとした不快感、不安感があるものではないのだが。
(まあ、いいや)
毛布はベージュの、どこにでもありそうなものだった。ちょっと使用感がある。匂いは…、やめておこう。
体の動作チェックをするように、首を回す。個室の病室だった。ベッドの横の台には花が飾ってある。
きれいな花だった。造花ではない。しかし、見たこともないし、なにかこの世のものでないような気さえする。いい匂いだ。
暑くはない。というかむしろ、少し寒い。湿気はあまり感じないので、やはり夏の始まりあたりと推測した。異論は聞こえない。
「っしょっと…」
足が地面につく。体はなんの軋みもなく、私を立たせた。
さて。
ここはどこだろう?
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