冬のある日

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幼なじみの美琴とはもう随分長い付き合いになる。同い年かつ家も近所で母親同士が仲良し。小さい頃からよく遊んでいたけれど美琴の勝気な性格で僕は散々振り回されてきたし、逆に弱気な僕を励ましてくれたのも美琴だった。 どんな奴かは僕がよく知っている、はずだった。 夜中から明け方にかけて降り続いた雪が残る朝、高校までの通学路を美琴と歩いていた。前を歩いていた美琴はゴソゴソとカバンから紙袋を取り出し、包まれていたホットドッグをおもむろに食べ始めた。 「もう充電してるわけ?」 「だって、学校だと食べにくいからね」 「今まで気にしてなかったくせに。まさか食事抜いてないだろうな」と問い詰めると 「恋する乙女だったらダイエットくらいやりますって」と悪びれもしない返事が返ってきた。 「アホか!!」 美琴の細い肩を掴んで向き直させた。 「頼むから食事減らすとか言うな!!お前の命かかってんだぞ!!」 普段あまり声を荒らげない僕に少し面を食らった顔をしたが、美琴は少しため息をついた。 「分かった分かった、太一。痛いから離して」 「今の絶対棒読みじゃん。分かってねえな」 美琴から手を離した時、心臓は少し早くなった。美琴の好きな人か。僕らは17歳。恋愛だって(それなりに)自由だ。でも、少し厄介なことがある。
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