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(それにしても、想像以上にすごいわ……) 瑠璃子はリサイクルショップというものを訪れたことがなかったので、『混沌』という表現がぴったりくる店内に圧倒されていた。 四方の壁にはめ込まれた棚には、雑多な品が天井までうず高く積まれており、店の中央はいくつもワゴンが置かれ、懐かしいゲームソフトやCD、レコード、カセットテープ、本、食器が並べられている。その奥にはまだ新品の洗濯機や冷蔵庫といった家電もあり、通路は人ひとりがようやく通れるスペースしかない。 (そういえば、このお店、名前はなんて言ったかしら……ア、アーカイブ? アーケイディア? アンビシャス……) 「アンビバレンサ…… ambivalenza」 「あ、そうそう、それ。あっ」  いつのまにか、瑠璃子の横に若い男が立っていた。音もなく、ごく自然にあらわれたので気づかなかったのだ。びっくりして背の高い男を見上げるようにして、瑠璃子はお辞儀した。 「いらっしゃいませ」  若い男はほほ笑みながら、うなずいた。
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