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「あのショール、もう一度見せてくださる?」  彼はうなずくと、棚からショールを持ってきてくれた。ショールには一万円という値札が付いていた。思った以上に高値だったが、その価値は充分ある。 「これ、下さい。私には少し派手かもしれないけど素敵だわ」  よく見ると、記憶にある母の物より少し派手なような気がした。 「お買い上げありがとうございます。包装しますので、少しお待ちください」  青年が言ったが、瑠璃子は包装はいらないと答えて支払いをすませると、いつも持っているショッピングバッグにそのまま入れた。 「また伺います。こちらのお店、見ているだけで楽しいんですもの」 「いつでもどうぞ。あ、でも明日は必ず病院へ行ってください。約束して下さい」  青年は、ほほ笑んで言った。  瑠璃子も、ほほ笑んでうなずき店を出ると、元気に自転車を漕いで家路についた。
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