第1章

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 もう私が信じて、期待して、勝手なイメージを抱いていた生田さんは死んでしまった、あきらめる、もう知らん、なので、現実の生田さんは勝手に成功していっぱい日の当たる場所に立ってくれ。私はもう生田さんを信じない。  デビュー作の漫画は買った。まだ読めていない。読みたいが怖い。怖くて読めない。嘘だ。一話だけネットのサンプルで読んだ。面白かった。面白いんだ! 面白いなんて卑怯だし、ずるいし、悲しい。  生田さんの漫画は確かに面白いけれども、万が一出版されるとしたら太田出版あたりでサブカル誌の、本屋の隅っこに位置する棚に置かれてなければいけないのだ。だのに、一般誌だ。青年誌だ。それを、生田さんが描いたのだ。  あの生田さんが、商業漫画を描いた、描けたので、どうしようもなく祝福したいのに、女の子が八頭身だから、読みたくても読めない。この感情を処理するためにモニタとキーボードに向かっている。どうしようもない。書き終わったら読めるだろうか。読みたいが、読むためには生田さんを昇華せねばならん。私の中の生田さん、ちゃんと死んでくれ。私が期待した、勝手に「こうであれ」と描いていたあなたは死んだ。  わたしの知る生田さんについて書く。     
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