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まず、生田さんを説明するには、2007年以降のボーカロイドとニコ動文化、それに連なるピアプロやピクシブについて語らねばならない。そしてインターネット嘘つき詩人と、泣くファズ・ギター、ノイズミュージックとサイケデリック・ロックについて。
あの夏、私は女子高生だった。
2007年の夏休みに、ニコニコ動画上でカウントダウンバナーが1日1日と日を削っていくのを、あのワクワク感を覚えているひとは何人いるだろうか?
あの日、女子高生だった私は「なにか素敵なこと」が起きる予感を青緑色のバナーから読み取っていた。
それまで、私にとって音楽とはテレビや街中で聞けるものであり、ツタヤでCDをレンタルするものだった。あるいは、インターネット掲示板で知り合ったお兄ちゃんが、「自作の曲なんだよ」と聞かせてくれたインストゥルメンタルが理解できなくて「歌詞がない曲ってあるんですね!」とぼんやりした感想を返すぐらい、DTMや一般人が作曲する趣味というものについて理解がなかった。おそらく世間もそうだろう。作曲するなら歌ってしかるべきだし、シンガーソングライターが当たり前だった時代だ。
突然現れた「初音ミク」という存在が、音楽を変えた。
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