9月21日その2*

1/1
691人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ

9月21日その2*

  「お疲れ様でした、到着ですよ」 「はぁ…疲れ、た…!」  少し早めにお祭りを切り上げ、学園へ戻ってきた私たちは、学園内にある時計塔の階段を上っていた。  建物はあるのに入り口が無い不思議な作りだと思っていた時計塔は、学園の地下から繋がっていた。売店の更に奥にある立ち入り禁止の扉の向こう、地下へと続く階段を下り、薄暗い廊下を歩き続けると、鍵の掛かっている扉へと行き着く。  通常の鍵の他に魔力認証なるものがあり、鍵を持っていても簡単には入れない作りとなっているらしい。ここの管理もリアムの仕事だそうで、彼は普通に出入りが出来るみたいだ。  階数にしたら3階建てぐらいなんだろうけど…延々と続く螺旋階段は普段の階段よりも段数が多く感じられて、正直登り切れるか不安だった。  先を行くリアムが何度も私のペースに合わせて立ち止まってくれたりして、息も絶え絶えやっと辿り着いた頂上で迎えてくれたのは、時計塔と言うより隠れ家のような部屋。  暗かった室内を間接照明で照らしてやれば、ソファーと木のローテーブル…その端には、本や紙が乱雑に積み重なっているのが現れる。壁にはこの街の地図がナイフで留められていて、主に夜の仕事で使っている部屋なのかもしれない。 「掃除はしているんですけど…散らかっていてすみません」 「そんなこと…!それに、元はと言えば、私が言い出したわけですし…!」 「ありがとうございます、適当に座っていて下さいね」  言われた通りソファーに座って、もう一度部屋を見回した。右手には大きな窓がはめ込まれていて、そこから街を見渡せる。リアムの言う通り、ここからなら光の花火はかなり綺麗に見れそうだ。花火だって大勢の人の中、揉みくちゃで空を見上げる経験しかなかっただけに、特等席で見れるのは不思議な感覚すぎる…私なんかが、こんな豪華な待遇を受けてしまって良いんだろうか…  少しだけ不安を感じていれば、いつもの嗅ぎ慣れた紅茶の香りが漂ってきた。 「お待たせしました」  部屋の端で紅茶を淹れたカップを手に持ったリアムは、テーブルの上へと置いてから私の隣へと腰掛けてきた。 「有り難うございます」  ここに来る途中で買ってくれた、私が一番好きな茶葉の香りを吸い込む。こう言う所をしっかりと押さえてくるリアムの気遣いがとても有り難かった。 「そろそろ始まる時間ですかね」  彼がそう言って窓へ視線を向ければ、計ったようなタイミングで空へ光の筋が上がる。私たちの頭より少し上で止まったそれは、静かに破裂をする。小さく広がった光の輪は、ワンテンポ遅れて一気に大輪の花を咲かせた。 「すごい…!」  次々と打ち上げられる光の筋は、静かに花を咲かせていき室内は光花の光で溢れかえった。あまりの綺麗さに興奮して、席を立つと窓際へと走り寄ってしまう。 「すごいです!すごい綺麗です…!」  追うように私の後ろへと立ったリアムを見上げると、そうですねと微笑み返してくれた。それから背中から抱きしめられ、彼の胸に納まるようにしてただ無言で光花を見続ける。  時間してみたら、5分程度だったかもしれない。そろそろ最後だと言うとおり、光花の勢いは激しさを増していく。  そう言えば、光花を見ながら告白をすると一緒になれるって言い伝えがあったんだ。イヴァンルートのみで語られる話しだったけど…そのロマンチックな話は覚えていた。  既に恋人同士になっている私たちだけど、この素敵な言い伝えには乗っかっておきたい。終わってしまう前に後ろに居るリアムを見上げる。 「リアムさん…!本当に、有り難うございます」 「いいえ、ユノさんが楽しそうで良かったです」 「私、リアムさんのこと、大好きです!」 「え…」 「これを見ながら告白すると、一緒になれるって聞いて…だから、リアムさん、大好きです!」  ぽかんと口を開けて私を見下ろしているリアムは、今までに無いほど驚いていた。  あ、あれ…?なんでそんな驚く必要があるの…?もしかして、あの言い伝えってゲームの中のみだったとか…?呆然している彼に段々と不安を感じてしまう… 「リ、リアムさん…?」 「アンタなぁ…」 「え…?」 「訂正は聞きませんよ?」 「え、えっと…?」 「私もです、ユノさん。離す気はありませんから」  一際大きな光花が打ち上げられたんだろう、こちらを見下ろしているリアムの顔が昼間のようにはっきりと見える。それから、銀の髪へと花の色が映りキラキラ輝いてから、少しずつ色を失っていった。  最後は見所のはずなんだけど…じっとこちらを見つめてくる深い緑から、何故だか目が離せない。もう一度名前を呼ばれ、わけも分からず体が熱くなった。  私を見ているリアムの目に、突然籠もった熱のせいかな…ぼうっと見つめ返していれば、自然と距離は縮まっていき、優しく唇へキスが降ってくる。  触れあうように唇を合わせて数回、薄く口を開けば熱い物が入り込んできて…ザラっとした物は、すぐに私の舌を絡め取ってしまう。 「ん…っ、」  舌先を吸われジンとした痺れが体に走れば、甘ったるい息が漏れる…縋るように腕を回すと、リアムの舌は歯列をなぞり始めた。ゆっくりとした動作でされる丹念なキスに、息は簡単に上がっていってしまう。  散々口内を犯されてから解放され、くたっと彼の胸へ頭を寄せる…普段なら、ここで大丈夫ですかと心配する声がけがされるんだけど、今日はそれは無くって…ふわりと体が宙に浮いた。 「リアムさん…?」  すっかり暗くなってしまった室内をリアムは足音も立てず進んでいくと、ソファーへと戻ってきた。ゆっくりそこへ体を降ろされて、すぐに私の上へリアムも覆い被さってくる。揺れる間接照明の中、こちらを見下ろしている彼と目が合い…思わず唇を噛んでしまった。  切なげに細められた目は、普段見せないギラつきが混ざっていて、それを見ただけできゅんとお腹の奥が疼く。 「この部屋に連れてきたのは、失敗でした…」 「失敗…?」 「ええ…悪いけど、止められそうにない」  低く囁くように言うと、今度は勢い良く唇を塞いできた。大きな舌に再び絡み取られ、今度は舌を擦り上げられる。たまに舌裏を掠められ、そのたびにゾクっとした刺激が走って、頭がぼんやりとしてきてしまう。 「ふ…ぁ…」  角度を変えながら何度も与えられるキスはとても気持ち良くて、必死になってリアムへと縋り付く。深く舌を吸い上げられ、ゆっくりと解放されて息を吸い込む。  余韻に浸りながら薄く目を開けば、彼の口から銀色の糸を引いているのを目撃…更に、自分の唇をペロっと舐めあげるという一部始終を目の当たりにして、恥ずかしさに顔へ熱が集まる。 「…かわい」  あまりの雄みに耐えきれなくって、腕で顔を隠すようにすれば、クスクスと笑い声が降ってくる。 「恥ずかしいです…!」 「なんで?可愛いのに」 「だ、だって、リアムさんが、ぁん?!」  突然走った刺激に、体が揺れる。慌てて腕を外すと、いつの間にか胸元のボタンは外されていて、そこへ大きな手が入り込んでいた。  全体を揉みながら先端を指で捏ねられ、既にそこが硬くなっているのが分かる。下着の上からだと言うのに、無駄に感度が良い体は簡単に快感を拾ってしまって苦しい…  それなのに、追い打ちをかけるように首筋にもキスを落とし始められてしまう。 「ゃ、ぁ…!」  強弱をつけて無駄に大きな胸を揉み上げて、爪で引っ掻くように先端を弄られれば、どんどんと体が熱くなっていく。こんな大きな胸なのに、ここまで感度が良いなんて…!  下着越しのもどかしい刺激でも気持ち良いんだけど…直に触られたらどうなっちゃうのか…そんな期待が膨らみすぎて、自然と興奮していってしまう。それなのに、彼は一向に手をいれてこず、ずっと下着の上から刺激してくる。  わざと焦らされてるのかもしれない…確かめようと胸元へ視線を向ければ、下着の上から先端を食んでいたリアムと目が合った。 「ひゃ…ッ!」  目を細めて笑いながら歯をたてられ、体が跳ねる。この人、絶対にわざとだよ…!ぼんやりした頭でも、それはしっかりと理解出来る。もどかし過ぎる刺激に耐えきれず、強めに名前を呼べばやっと唇を離してくれた。 「どうしました?」 「えっと…その…」 「ユノさん?」 「もっと…」  いつも通り柔らかい笑みを浮かべているけれど、熱の籠もった目のせいで印象はまるっきり違う。直接触って下さいなんて口に出来ず言い淀む私を煽るように、直接晒されている膨らみへ優しくキスを落としてくる。  もう、早く触って欲しいのに…!こんな時だけ意地悪だなんて知らなかったよぉ…!  理性を限界にまで煽られたせいで、自棄になった体はゆっくりと自分で下着へと手を伸ばす。蕩けきっている頭がそれを静止するはずも無く…軽く力を入れて上にずらせば、大きな胸を押さえつけているものが外れ、溢れ出ていく。  普段なら解放感が心地よくて、息を吐く所なんだけど…今は、膨らみすぎている期待と緊張で、息苦しくて堪らない。 「さわって…ください…」  自分から求める厭らしい女だと思われるかもしれない…だけど、もう限界…!  浅い呼吸を繰り返しながらそう訴え掛ければ、ギラついた深緑が細められ、次の瞬間には先端を咥え込まれていた。強く胸を揉まれ、彼の手から漏れた物がむにゅっと形を変える。硬く敏感になっている先端を舌先と指で刺激されて、一気に快感が体を走る。 「んぁあ?!」  ビリビリした刺激で、腰が揺れ体が沈む。力が抜けていると思っていた体は、更に力が入らなくなっていき…彷徨っていた手は、そのまま胸元に居るリアムの頭へと添えられる。予想以上の刺激の強さに体の震えが止まらず、堪らなくなって縋るように彼の髪へと指を入れて頭を掻き抱く。それがもっとと強請るっているようだなんて、今の私にはとても気づけない。 「ぁ、だめ…ッ、ふあ…」  舌先でコロコロと先端を転がされ、吸い上げられ、甘噛みをされ…やっと解放されたと思うと、今度は反対側を口に含まれる。私の胸を吸っているのが、長年恋い焦がれていたリアムだって言う事に尚更興奮してしまって…膝を強く擦り合わせる。  どうしようも無く腰が重い。与えられてる刺激が、そのまま下腹部へと直行して、気持ちいい…絶え間ない刺激のせいで、揺れっぱなしの腰は何かを求め上へと上がる。  だめ…手足が痺れてきてる…もう、限界が近い…! 「あっ、リ、アム、さ…ッ!」  胸を弄られているだけなのに…!臍の下、お腹の奥へと熱が集まりジンジンする。少しでも紛らわせるよう、必死に膝を擦り合わせていると、そこをするりと撫でられた。そんな予想外の所からの刺激に、勢い良く跳ね、一瞬背がソファーから離れる。 「ふ…ッ、んん…!」  指先でなぞるように撫で上げる手は、膝を通り過ぎると太ももへと下がり、そのまま中側へと入り込んできた。優しいはずなのに、有無を言わせない動きで内太ももを割ってきた手に従い、ゆっくりと足を開いていく。  リアムの腕が入る程度開けば、彼は遠慮無く入り込んできて…中心部へと指を伸ばしてきた。 「ひぅッ、」 「すごい…」  胸から口を離し頭の方へと寄ってきた彼は、嬉しそうに笑うと、触れる程度の優しいキスを落とす。 「ユノさんってば、ここ、すごい濡れて」 「い、言わないで…!」 「おや、残念」  下着の意味を成してないぐらい、それが濡れていることぐらい、自分が一番理解している…!それでも、指摘されれば恥ずかしいに決まっているじゃない…!隠すように両手で顔を覆うと、くすくすと言う笑い声が降ってきた。 「顔、隠しちゃうの?」 「だ、だってぇ…!」 「感じてる所、もっと見たいのに…」  耳元で囁くリアムの声に、顔を隠しながら言い訳をしている最中。軽く触れているはずだった指が、クロッチをずらして中へと入ってくると、自分ですらあまり触らない部分を撫で上げられた。 「ひゃぅうう!!」  今まで感じたことも無い強い刺激に、体を仰け反らせる。指の腹で愛液を馴染ませるかのように小さく円を描き始めた動きは、あくまでも優しい。これでイかなかった私を褒めて欲しい…! 「ッ、はっ、ぁぅ…ッ」 「気持ちいですか?」  さっきまでお願いしなきゃ直接触らずにいたくせに、今度はいきなり触ってくるなんて…!油断していた分もあって、拾い上げる感度も半端ない。  ヒダの下に隠れていた粒は、触られずともみっともなく腫れ上がってしまっていて…そこを指先で軽くノックされたら、体中が痺れるような快感に襲われる。 「あっ、や、ぁあんっ」 「ユノさん…」 「き、もち…いよぉ…!」  ぼやけ始めている視界の中、リアムへ本音を伝えれば、良かったと微笑まれた。顔を覆っていたはずの手からは力が抜けて、頭の横へと落ちてしまっている。刺激はリズミカルで、それに合わせ絶え間なく喘ぎ声が漏れせいで口が閉じられなくって…だらしない顔を晒してるんだろう…  それを見下ろしてきているリアムは、ただ可愛いと言いながら顔中へキスを降らしてきた。  もう限界が近い…!それをリアムも気付いているのか、膨れている秘部を一際激しく指で刺激してきた。 「やぁあ?!リアムさん…!」 「ええ、良いですよ…」 「だめッ、わたし…!」  駆け上がってくる快楽が怖くて、必死になって腕に力を入れると意外と簡単に持ち上がってくれた。それをリアムの方へと差し出すと、すぐに体を寄せてくれたので、迷わず縋り付く。  ぎゅっと首へ腕を回した私へリアムはいつも通り優しく微笑むと、更に距離を縮めてきた。 「達して?ユノさん」 「~~~ッ、んぁああ!!!」  コツっとおでこを合わせて言ったリアムの言葉に反応するように、一際大きく体が震える。ビリビリって刺激が全身を駆け抜けて、頭が真っ白になって…それが堪らなく幸せで…何も考えられない。  何度か痙攣を繰り返す体は、落ち着きを取り戻す頃には力が入らなくって、ぐったりとソファーに沈んでいく。荒い呼吸を繰り返していると、やっと合ってくる視点…ぼんやり見つめていたら、おでこへ軽くキスをしたリアムは上体を起こして行っていた。 「ぁ…」 「上手に出来ましたね」  そう微笑んだ彼は、自身の右手の指を口へと含む。間接照明に照らされ光って見える右手はびしょびしょで、それを舌で舐め取っている姿を目の当たりにして、一気に我に返った。  このタイミングで、濡れてるなんて…!ひとつしか思い当たる節が無い…!! 「なななな何してるんですかぁ!?」 「わ、ユノさん?!」  止めようと起き上がろうとしたのは、私の理性だけ。未だに力の抜けている体では突然の動きについていけず、変な方向へと倒れ込んでしまい、結果ソファーの下目掛けて落ちていく。  だけど、体はそこまでの衝撃が無く、柔らかい物の上へと俯せに倒れ込んでいた。まさかと思いながら顔を上げれば…想像通り、私に下敷きにされているリアムの姿。 「いや、驚きました…ユノさんがここまで情熱的だったとは…」 「ごごごごごめんなさ…!」 「良いですよ…満足するまで、付き合いますよ?」  なんだか昔、似たような体勢に陥ったことがあるんだけど…その時には感じなかった官能的な雰囲気に、ヒュっと喉が鳴る。さっきまでこれ以上のことをしてたって言うのに、雄の顔をしたリアムの熱っぽい視線を見ると恥ずかしくて堪らない…!  性的な方面に対して、私はこの人には一生勝てないと悟った夜だった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!