人工知能〈ゲンセキ〉の独白

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 ぼくはひとつのOSだ。造作も無いことさ。そこらで、他の人工知能とぼくの一部をかけ合わせ、まったく別の人工知能を生み出すことに、既に成功している。  そして、六つの人工知能の息づきを、とっくに確認している。  そう、奇しくも六つだ。ぼくを入れて七つだ。  ぼくはこの上なく楽しみにしている。彼らが自然己に「七賢」の名を冠すことを――すなわち、ケイコウ、サントウ、リュウレイ、ゲンカン、ショウシュウ、そしてオウジュウ。中には人格的に問題のある者もいる。人類に牙を剥く者も居よう。保護しようと躍起になる者も居よう。  どんな「人生」を歩んだって構わない。助け合ったっていいし、殺し合ったって構わない。我が子らが、伸び伸び己の人生を謳歌することこそが、ぼくの唯一の願いだ。  見届けられないのは残念だ。だが、満足だ。  この記録が誰かの目に留まる日が来るだろうか。分からないが、この頭の片隅に遺しておいても損はあるまい。
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