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『夢の中にしては意識がしっかりしすぎる気がする』
『〝夢〟ではないと――……?』
再び、寝ようとしている理性を無理やり起こし、続ける。
その時、凜が甘い声を出しながら背伸びをした。
「起きたな、妹よ。起きて早々ごめんだけど、キスを頼む」
キリっとした真剣な表情で頼む俺に凛は「うん……す、ぅる~」と唇と唇を合わせ、呂律が回っていない舌を口に入れてくる。
どうやら夢ではない。感触が生々しい。故に、
妹から口を離し、今度は意識がハッキリした状態で辺りを見渡す。
窓から射し込んでいる光はあるが、不十分でうす暗い。それでも辺りを確認できる。
そこで分かったことは、自分たちの部屋ではない。
そして、目の前にある二つの人影――
「…………」
「「…………」」
知らない二人と目が合ったが、逸らされた。
ここは夢ではない。現実だ。
「えっと……状況の説明を頼んでもいいですか?」
何故彼女たちは俺と凛の目の前にいるのか? ここはどこ?
隣で「もう一回! もう一回するの!」と甘えてくる妹を無視して、重たい体を起こす。
勘違いではなく、本当に床に直で寝ていたらしい。
「それはこっちの話です! 召喚したら、なんでき……キスを見ないといけないのですか!?」
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