舞台はどうやら、中世ヨーロッパではないらしい。

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「こっちにはちゃんと説明する義務がありますね。……はぁ」  疲れたようにため息をつき、俺は苦笑いで返すしかなかった。  皮肉かな? 「説明する前に自己紹介した方がいいですね。あたしの名前はエンダ・ロンハート。クラスはランサーです」  聞き覚えのない言葉に小首をかしげる。 「く、クラス……」  学校? 学校の組を言ってんの?  しかし、疑問をハッキリさせないまま続く。 「はいはい! 私はイルゼ・ファンイドラ。イルゼちゃんって呼んでねっ。クラスはね、エンハンサーだよ! よろしくね!」  エンダに続くように手を上げ、元気よく自己紹介をするイルゼ。 「……ま、まあいいか」  聞こうとした質問を言えず、とりあえず流れに乗っておくことにした。 「俺は佐良秋斗、こっちが妹の凛」 「むぅ……人の自己紹介取った」  気づけば、凛は女座りで隣に座って起きていた。 「別に名前くらい、いいじゃん。つか、まだ名前しか言ってないぞ、俺」 「名前だけでも大切なの!」  分らないな……、と頭を抱えてしまう。 「なんて呼べばいい?」  イルゼの問いに、俺たちは少し考えて答える。  けど、考えるほどのものじゃなかった。  「なんでもいいぞ?」 「苗字でも名前でもいいよ?」 「二人の苗字は先ですか? それもと後ですか?」     
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