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「えっと……いいですか? 準備が整いましたので横のエレベーターを使って6階に向かってください」
明らかにさっきと様子が変わったお姉さんは、俺と目線を合わせたがらないような気がした。
(ねえ、お兄ちゃん?)
(なんだ?)
どうも声に出すことを拒み、アイコンタクトで会話する。
(何かおかしいこと言ったのかな?)
やっぱり、凛も同じことを思っていたようだ。
(分からん。まあけど、進もうか。答えはその後でもいいだろ)
確かに気になる。気になるが、俺はそれより〝これから〟が気になるんだ。
予想はしてるが、その通りだろうが違うだろうがどっちでもいい。
「い、行きますか」
「うん! そうだね!」
戸惑いが隠しきれていないエンダと全く変化のないイルゼ。
歩き始める二人の背中を見て、一言。
「まあ、遊びつくそうぜ」
この言葉に意味なんてない。だが、心から思うことだ。
ここは日本じゃない。似てるけど異世界だ。これからどんなことが起こるかなんて分からない。だけど、
「そうだね、気軽に行こうね」
また兄妹は手を繋ぐ。道を間違えないように、踏み外さないために手を握る。
遊ぼう、剣を交えてさ――……
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