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いいの?ありがとう!
嬉しそうに受け取るとブンブン降ってるしっぽが見える。
犬か、こいつは。
開けていい??
返事をする前に開けてるじゃないか。
あれ?と首を傾げている彼の手元を見るとチョコではなく指輪ケースがあった。
中にはmarry meと書かれた紙。
間違えた。
これでは急かしてるみたいじゃないか。
ごめん、急いでたからよく見ずに買っちゃった
と焦って言うと
そうだと思ったと笑いながら別の可愛い箱を渡してきた。
チョコ、買う時間ないんじゃないかと思って準備してたんだ
照れくさそうな顔はやっぱり子犬みたいで、ちゃんと準備してなかったことに申し訳ない気持ちになる。
箱の中にはハート型の甘そうなチョコレート。
私よりも女子力高いなと呟きながらかじろうとすると驚いたような顔をして止めていたが、もう遅かった。
ガリッ
固い
甘くない
というよりチョコじゃない。
よく見るとチョコレート型の入れ物だった。
私の顎が強くて少し欠けてしまったが。
少し恥ずかしくなって慌てて開けてみると、キラリと輝く指輪がちょこんと座っている。
理解が追いつかず、隣の子犬の方を見るとそっと私の指にはめ、微笑みながら呟く。
marry m…
ここで目が覚めた。
せめて最後まで聞かせてほしかった。
ため息をつきながら朝食を済ませ、スーツに着替え、
行ってきます
とさっきまで隣で寝ていた子犬の頭をなでながら玄関の扉を開けた。
今日くらいはちょっとお高いジャーキーを買って帰ってあげようか。
それと、自分用にとびきり甘いチョコレートを。
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