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「まず、この前はすまなかった。君には失礼なことをした。」
一昨日、『三浦早紀』の名前を彼女の口から聞いたとき
俺は彼女が話を続けるのを無理に遮り、逃げるように帰った。
「いえ、突然すぎてビックリしたのは分かります。私の方こそ、すみません…。」
彼女は俺の目を見て謝る。
「単刀直入に聞くよ。君はその名前をどこで知ったんだい?」
彼女のカップを持つ手に力が入る。伏し目がちになり、目が左右に素早く動く。
この先を話して良いのかどうか、そんな迷いが見られる。
「俺に気を遣わなくていい。今度はキチンと受け止める。だから話してくれ。」
躊躇う彼女を辛抱強く待つ。しばらくすると彼女は口を開く。
「…し……れ…です。」
彼女は掠れる声でつぶやく。しかし聞こえなかった。
彼女もそれに気づいたのだろう。しばらく躊躇った後、今度ははっきりとした声で言った。
「私、『三浦早紀』の生まれ変わりなんです。」
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