0人が本棚に入れています
本棚に追加
…冗談か何かだろうか。
もしそうならば、相当性質の悪い冗談だ。
手元のコーヒーを口に運ぶ。混乱した頭の中を爽やかな苦みが駆け抜ける。
彼女はまっすぐとこちらを見ている。手元のカップがカタカタと鳴っている。
「どこでその名前を知ったのかは知らないが、くだらない冗談はやめてくれ。」
彼女は泣き出しそうな顔になる。
「冗談じゃないよ、貴志くん。」
目尻が痙攣する。気付けば机を殴っていた。
肩をビクッと震えさせる彼女。
入り口から店長の咳払いが聞こえる。
あぁ、店長すまない。店長の咳払いで少し冷静さを取り戻した。
「いいか? この世には言っていい冗談と悪い冗談がある。それは悪い方の冗談だ。
もし…万が一本当だと君が言うのなら証拠を出してくれ。」
彼女の目を見て続ける。
「もし、証拠を出せないのならここまでだ。もう二度と俺に関わらないでくれ。」
さぁ、どう出る?
しばらくカップに目を落としていた彼女がつぶやく。
「『人間を創ることはできると思いますか』?」
「!!」
目を見開く。
その言葉は、あの人と何度も話をした内容だ。
最初のコメントを投稿しよう!