目を開けたらそこは異世界でした

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マンティスクイーンを倒した僕は、クロエになんでこんな無茶をしたのか聞いた。 ローラから聞いた通りこの教会の辺りの花摘みがしたくて、これまで何度も来ていたという事だった。 確かに教会の周りは一面の花畑だった。 僕はクロエに尋ねた。 「でもクロエよくここまで来れたね?ここに来るまで魔物と沢山戦ったけど。」 ああそれはとクロエは腕輪を見せながら僕に話した。 「この魔物よけのブレスレットのおかげです。さっきのカマキリの魔物には効きませんでしたけど。」 僕はクロエに言った。 「まあクロエが無事で良かったけど。」 僕は改めて教会を見返した。 その教会は丘の上にひっそりと建っていた。 しかもあちらこちらが傷んでおり、荒れ果てていた。 クロエが僕に言った。 「少し前まではこの教会ぐらいまでは安全に来れていたんです。ここで昔は良くお母様と花摘をしていたんです。」 僕は少し迷いつつもクロエに聞いてみた。 「もしかしてクロエのお母さんって?」 クロエが少し間をおいて答えた。 「はい、魔物に殺されました。」 僕がクロエに言った。 「その、変な事聞いちゃってごめんね。」 クロエが改まって僕に言った。 「いえ、それより勇者様、本当にありがとうございました。」 僕がクロエに言う。 「それじゃ村まで帰ろうか。」 クロエがはいと答える。 するとクロエが倒れてしまった。クロエが答える。 「すいません、足をくじいてしまったみたいで。」 僕がクロエに言った。 「分かった、じゃあ僕がクロエをおぶっていくよ。」 クロエが顔を真っ赤にして答える。 「ええ!えっと、はいじゃあお願いします。」 僕はクロエを背中に背負って歩きはじめた。 クロエは少し恥ずかしそうに言った。 「ありがとうございます勇者様。勇者様もケガをされてるのに。」 そうだった、そういえばクロエを庇ってマンティスクイーンの攻撃をもろに受けてたんだった。 「そうだった、どうしようかな?」 クロエが僕に聞いてくる。 「どうなさいましたか?勇者様。」 僕がクロエに言った。 「メニュー画面つまり光の鍵盤を確認したいと思ってね。」 クロエは僕の考えを察したらしく、僕に言った。 「それでしたら私が光の鍵盤を操作致します。」 僕はクロエに言った。 「ごめんねクロエお願いできる?」 クロエがはいっと答えた。 僕はメニュー画面を呼び出すと、クロエに手で操作して貰った。 クロエが前に乗り出す度に、クロエの胸が背中に当たった。 うああ僕から頼んでなんだけど、かなり恥ずかしい。 クロエが僕に尋ねた。 「これで宜しいですか?勇者様。」 僕はクロエに言った。 「ああ、ありがとうクロエ。」 クロエが僕に尋ねた。 「どうなさいましたか?勇者様。」 僕はクロエに慌てて答えた。 「いやいや何でもない。」 とにかくクロエは助けたし、すぐ村に帰ろう。 「さあ早くヤード村に帰ろう。」 クロエが僕に答えた。 「はい!」 とは言ったもののクロエを背負ってとなると戦うのは厳しい。 なるべく物音をたてずに来た道を帰りはじめた。 かなり歩いてきたが、一度も魔物は出てこない。 「なんで魔物が出てこないのかな?」 クロエが後ろから僕に言った。 「もしかしたら、まだ魔物よけのブレスレットが効いているのかもしれません。」 僕はクロエに言った。 「なるほどね。でもマンティスクイーンに効かなかったのは?」 クロエが僕に言った。 「う~ん、強い魔物には効かないという事でしょうか?」 僕はクロエに答えた。 「なるほどね。ありがとうねクロエ。」 まあ魔物が襲って来ないないなら、その方が助かる。 この際理由なんてどうでもいい。 その後も慎重に進んだが結局魔物は出てこなかった。 ようやくデリール大森林を抜けて、もうすぐヤード村という所でクロエが満面の笑顔で話しかけてきた。 「勇者様、今日は本当にありがとうございました。勇者様が来てくれた時本当に嬉しかったです。」 僕がクロエに言った。 「うん、僕もクロエが無事で本当に嬉しいよ。」 僕達はその後、たわいもない話をしながら、ヤード村へ帰った。
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